歴史

1952より受けれるデンマークデザイン

1950年代、デンマークのとある静かな町で、新しい工場の入り口に立つ2人の若い家具職人。その顔には誇らしげな表情が浮かんでいます。スペースはそれほど広くはないものの、完璧に整えられた設備は、 2人が丁寧な手仕事で作り上げたものです。

イェンス・エァトホイとテーエ・ムルホルムは、その時からわずか2年前の1952年の暑い夏、デンマークのヘアニングに家具工房を開きました。当時、2人にあるのは家具制作の技術と若さゆえの情熱でした。4人の従業員を雇い、増え続ける注文をこなしながら、夢の実現を目指す2人は充実感にあふれていました。胸に抱いていたのは、質の高いデンマークの家具をもっと多くの人々に届けたいという想いです。

顧客からの要望に対応しながら高い品質を維持するには、創意工夫の精神が必要でした。当時デンマークに浸透してきた産業化の波を、クラフトマンシップの伝統に融合させる必要があったのです。機械はより手頃な価格で手に入るようになり、効率と精度も向上していました。賢明な投資戦略によって、顧客を引き付ける品質面で妥協することなく、生産性を促し、コストを削減できるようになったのです。

イェンスとテーエは、デンマークデザインを世界的な称賛を集める地位へと導いた原則を信じていました。つまり、シンプルなデザイン、クラフトマンシップ、エレガントな機能性、上質な素材です。この年に製造され、人気を博したチーク製の伸張式ダイニングテーブルのスムーズな動きにも、この理念が反映されていました。デンマークの機能主義に基づいた、無駄をそぎ落とした美しさへの信念は、そのテーブルに合わせて建築家のアルネ・ウォールがデザインしたダイニングチェアにも現れています。

こうした理念と、イェンスとテーエが持つ生来の商才が結び付き、事業は順調に進みました。それからわずか8年後、彼らの工房は1,300平方メートルの新しい施設に移転。事業はさらに成長を続け、家具製造の工房から小売チェーンへと発展しました。小さな会社がデンマークで最大、かつ最もグローバルな家具ブランドへと成長し、60か国以上に約300店舗近くのストアを展開するようになったのです。その数は今も増え続けています。

現在でも、ボーコンセプトは1962年に取得した場所に本社を構えています。これは、「伝統に根ざし、未来を見据えた優れたデザイン」というブランドコンセプトの表れです。そこには、イェンスとテーエの仕事に対する姿勢が反映されています。ボーコンセプトはこの先もずっと、この伝統を守り続けていきます。